ナスダックトリプル(TQQQ)かCFDか?損失を取り戻せるのは?
最近、米国市場は下落しています。
トライオートETFで損失を出して 「塩漬けしても取り返す」というtwitterの書き込みを多く見かけるようになりました。
もちろん取り戻したい気持ちは分かります。
ですが、その方はトライオートで人気のナスダック100トリプルが
レバレッジ型ETFのTQQQを元にした銘柄であり、
TQQQやSPXLなどのレバレッジ型ETFの欠点をご存知ないのかもしれません。
結論を書くと
ナスダックが戻っても、ナスダック100トリプルは損失のまま。
このシナリオも覚悟しておくべきです。
リセッション(景気後退)懸念が増す不透明な相場環境において
「ナスダック100トリプルや、レバレッジ型ETFの選択はハイリスクでは?」という話です。
目次
レバレッジ型ETFとは?その値動き
レバレッジ型ETFについて考えていきます。
レバレッジ型ETFは、対象の指数の2倍、3倍の値動きをするETFです。
トライオートETFのナスダック100トリプルの元となるTQQQは、
ナスダック指数 1日の値動きの3倍の値動きを目指すETFです。
上昇相場が得意なETFで、2017年の適温相場のナスダック指数が30%上昇する中でTQQQは2倍となりました。
しかし当然ながら、下降相場においても3倍。
レバレッジ型ETFは下降相場には不向きです。
たったの2ヵ月で半値となりました。トライオートETFでロスカットしたという話もよく聞きました。
レバレッジ型ETFの減損リスク、ナスダックが戻っても損失の理由
ナスダックが戻っても、ナスダック100トリプルは損失のまま。
この理由は2007~2012年のナスダック指数とTQQQの比較チャートを見るとよく分かります。
開始時を100としたナスダック指数とTQQQの比較チャート。
※TQQQは2010年4月上場のため、計算により算出。
2008年秋からリーマンショックで暴落。
2008年末(A)はナスダック指数が40%の下落に対し、TQQQは最大で87%も下落します。
投資額100万円なら13万になります。
2009年後半(B)になりナスダック指数が100に戻った地点では、TQQQは依然として半値以下、50を割ったままです。
2011年にナスダック指数が125に達した地点(C)で、TQQQは100を超えることができました。
ナスダック指数が戻る中、TQQQを投資し続けるのは相当なストレスでしょう。
どうして、TQQQの戻りが悪いのか?
それには理由があります。
レバレッジ型ETFは日々減損しているからです。
日々3%上昇、下落を繰り返した場合の推移を表にまとめてみました。
日々の3倍の値動きをするということは、対象指数と乖離し減損していくことになります。
対象指数 | レバレッジ型ETF (3倍) |
|
---|---|---|
1日目 | 100.0 | 100.0 |
2日目 | 103.0 | 109.0 |
3日目 | 99.9 | 99.2 |
4日目 | 102.9 | 108.1 |
5日目 | 99.8 | 98.4 |
6日目 | 102.8 | 107.2 |
7日目 | 99.7 | 97.6 |
8日目 | 102.7 | 106.4 |
9日目 | 99.6 | 96.8 |
9日目にして-2.8%も乖離しています。
負担となるTQQQの信託報酬とトライオートETFの金利
更に追い打ちをかけるのが、TQQQの信託報酬とトライオートETFの金利です。
TQQQの信託報酬は年間0.95%。トライオートETFの金利は年間約3.2%。合わせると年間4.1%のコストになります。
先程の(C)地点でTQQQは100に戻していますが、2008年秋の暴落から約3年塩漬けしていたとするなら、トライオートETFのナスダック100トリプルの場合、-12.3%(4.1% × 3年)のコストが残ります。
ナスダック指数なら+30%の利益、それがナスダック100トリプルなら-12%の損失となります。
「トライオートETFは自動売買だから、上下の動きでもっと利益が出てるはずだ。」という意見もあるかもしれませんが、トライオートETFは含み益が出たときに自動で利益確定、追加発注する仕組みです。
含み損となった銘柄は値が戻るまで塩漬けするだけなので、トライオートETFらしさは期待できません。
レバレッジ型ETFやトライオートETFではなく、CFDという選択
これまでの説明でも分かる通り、レバレッジ型ETFは「右肩上がりの相場」に適した投資です。そして、トライオートETFは「多少の上下を収益化する仕組み」です。
つまり、両者を組み合わせたトライオートETFのナスダック100トリプルは「右肩上がりで多少の上下がある相場」を期待した投資法と言えるでしょう。
少しでもリセッション(景気後退)を懸念しているなら、相場環境を考えた投資と言えるのでしょうか?
ナスダック指数が戻しても、引き続き損失を抱え込む。
毎日、信託報酬や金利が負担となる。
高いリスクを背負うのは、高いリターンが見込める相場だけにした方が良いです。
一方で私が投資しているGMOクリック証券のナスダックCFDはどうなのか、比較チャートに重ねてみました。
乱高下した相場では、レバレッジ型ETFより好成績です。
ナスダック指数が戻しても損失を抱えていることはありません。
更に、GMOクリック証券のナスダックCFDは信託報酬や金利はかからないので、時間に追われることはありません。
CFDならレバレッジを1倍~5倍とリスクを調整しやすいメリットもあります。
右肩上がりの相場ではTQQQに見劣りしますが、不透明な相場が見える2019年においては、これでも十分というのが私の考えです。
2017年は好成績だったトライオートETF
2017年の適温相場では好成績を出したトライオートETF。
ナスダック100トリプルに向いた相場では、高い好成績を残しました。
しかし、高いパフォーマンスが出る投資法は、相場環境が変われば、突然うまく行かなくなります。
この1年少しの間に-130%も収益が悪化しました。
2017年のような初心者が勝ちやすい適温相場は終わっています。
リーマンショックレベルが来れば、TQQQは-87%となります。
レバレッジ型ETF TQQQやトライオートETFのナスダック100トリプルがハイリスクな投資だということを頭に入れておきましょう。